BAD & BAD【Ⅱ】





ほら。

いい方向に、変わってる。



もし本当に善兄が成長しても、こっち側の味方にはできないけれど。


敵ではなくなるなら、この恐怖心もなくなるのだろうか。




「用はそれだけ?じゃあ行くね。さよなら」


「あ、待って!」



塩対応で背を向けたら、呼び止められた。




「真修くんに『辛い思いさせてごめん』って、伝えてくれる?」


「仕方ないなあ」


「ついでに、朔にも『卒業おめでとう』って僕の分まで祝ってあげて」


「はいはい、わかったわかった」




弟がついでって。それでいいのか、義理の兄よ。


まあ、いいや。今頃感満載なメッセージを、届けてあげよう。最後の手向けとして。




「またね幸珀」



私は何も返さずに、歩き出す。


足取りはやけに軽かった。