「最後に、会っておきたくて」



最後?

願ってもないことだけど、どういうこと?



「僕ね、来週からヨーロッパに留学するんだ」



コスモカラーの綺麗な髪が、さらり、踊っていた。




「寛大な男になって、幸珀の大切な人達を傷つけずに全部守れるくらい強くなって……またここに戻ってくるよ」


「はい?」


「その時、プロポーズし直すから、待っててね」


「はい!?」




それってつまり、監禁しなくなったはいいけど、恋はそう簡単にあきらめないから覚悟しとけと?そういうことっすか?いや、なんでやねん。


愛憎で我慢しろっつったろうが!お前の天才的頭脳は、こんな時に限ってポンコツになったのか!?あぁん?



「……まあ、プロポーズし直すのは冗談だけど」



冗談かーい。

質の悪い冗談はやめてくれませんかね。




「今度は僕も、幸珀“達”を守る側になれるように成長したら、幸珀に会いに行くよ」


「そんな努力したって、私は善兄が嫌いだよ。この先もずっと、ずっと」


「うん、わかってる。嫌いでいいよ。これは僕の自己満足だから」