さっき?さっきって、いつ?
もしかして、体育館出てからすぐ連絡してくれてたの?
善兄と闘った直後なのに、よくそこまで頭が回るね。皆に連絡してくれてありがとう。
「つーか、お前ら、傷すげぇぞ?大丈夫か?」
「生きてるだけマシだ」
「うんうん」
「は?」
朔の意見に真修は深く同意するが、剛は意味不明そうに眉をひそめている。
そうだよね。これだけの傷で済んだことに感謝しなくちゃ。命があるって素晴らしい。
「ほい」
「なに?」
命の尊さに感動していたら、今の今まで誰かと電話をしていたたかやんが、自分のスマホを私に渡してきた。
「スマホがどうかしたの?」
首を傾げれば、画面を見ろと視線で促された。
画面?
指示に従って、画面に表示された名前を確認する。
着信相手は、ここにはいない桃太郎。電話は今も続いているようだった。



