皆の瞳が、私と凛に注目する。
桃太郎の眼差しだけが、とてつもなく尖っていた。
ちょっと、殺意で覆った嫉妬心をむき出しにしないでよ。恋敵じゃあるまいし。
「そうですか?」
「そうだよ」
師匠、即答しないでください!
「イチャつかれるよりはマシだけどな」
「でもやっぱり、今でも偽装カップルなんじゃないかって思っちまうよな」
「偽装に1票」
「桃太郎はただ凛を奪われたみたいで寂しいだけっしょ~?」
たかやん、剛、桃太郎、弘也の順にカードを流れるように引きながら、口々に好き勝手喋った。
本人を前に、よく堂々と言えるよね。少しは気を遣え。
偽装、ねぇ。
それはない。絶対に!
どうして私が、そんなめんどくさいことしなくちゃいけないの。してもメリットないじゃん。
神雷を騙すのは、もう懲り懲りだっつの。



