BAD & BAD【Ⅱ】





自分を庇って傷を負ったという印象が、強く残ってしまっているらしい。



この程度の痛み、なんともないのに。


なんて言えば、凛は心配しなくなるんだろう。




うーん…………あっ、ひらめいた!




「確かに私ぃ、女の子だしぃ、傷痕が残ったら嫌だなぁ」



ハンカチ越しに左手に右手を添えて、悲嘆するフリをしてみる。


横を一瞥したら、想像以上に落ち込んでいた。



「だからさ」


声色をわざとらしく明るくする。



気にしないでと言ったって気にするなら、ずっと気にしていてもらおう。



「傷痕が残っても残らなくても、責任取ってよね」


「ああ、もち……ろ、ん?」



ダークブラウンの目が見開かれ、ニッと口元をほころばせた。



今、頷いたよね?

交渉成立、ってことでよろしいかな?



「責任って、もしかして……」



意味を聞いてくるなんて、乙女に恥をかかせる気?