自分を庇って傷を負ったという印象が、強く残ってしまっているらしい。
この程度の痛み、なんともないのに。
なんて言えば、凛は心配しなくなるんだろう。
うーん…………あっ、ひらめいた!
「確かに私ぃ、女の子だしぃ、傷痕が残ったら嫌だなぁ」
ハンカチ越しに左手に右手を添えて、悲嘆するフリをしてみる。
横を一瞥したら、想像以上に落ち込んでいた。
「だからさ」
声色をわざとらしく明るくする。
気にしないでと言ったって気にするなら、ずっと気にしていてもらおう。
「傷痕が残っても残らなくても、責任取ってよね」
「ああ、もち……ろ、ん?」
ダークブラウンの目が見開かれ、ニッと口元をほころばせた。
今、頷いたよね?
交渉成立、ってことでよろしいかな?
「責任って、もしかして……」
意味を聞いてくるなんて、乙女に恥をかかせる気?



