BAD & BAD【Ⅱ】






「幸珀」


「はい?……って、あれ!?」



名前を呼ばれて横に顔を向ければ、隣にいたはずの師匠が凛にすり替わっていた。



師匠はどこ行った!?


キョロキョロ見渡すと、師匠はいつの間にか、前を歩く朔と真修の方に移動していた。




「手ぇ大丈夫か?」


「大丈夫だよ!ほらっ」


「……大丈夫じゃねぇじゃねぇか」



特に血の量が多い左手を見せたら、凛は顔を青くして、持っていたハンカチを左手に巻いて応急処置してくれた。


ハンカチはすぐに赤く染まっていった。




「右手は?」


「こっちも大丈夫!」


「そっちも傷だらけじゃねぇか」


「こんなのかすり傷だよ」




左手よりは傷が浅かったから、もう血は止まってる。


私が平気そうにしていても、凛の表情は陰ったままだった。



「すぐ治るって」


「でも……」