BAD & BAD【Ⅱ】





こんなに心をかき乱されて、たくさんの辛い傷跡を残されて、仲間を甚振られて。


許される、はずがない。



被害者である私は、善兄のした最低な行為を、永遠に忘れちゃいけないんだ。



「一生……?」


「うん、一生」



頷いて、凛々しくも冷ややかに微笑んだ。



欲しくもない歪な情愛をくれた善兄に、同じ想いの代わりに同じ分だけの“悪”をあげる。


まるで「愛憎」の「愛」を善兄が、「憎」を私が半分ずつ持ってるように。



それしかできないけれど、そのくらいならできるから。



「それで、我慢してくれない?」



意義は違うかもしれない。


それでも、今まで善兄が捧げようとしてくれた永遠と、価値は一緒。




私の一生分の憎悪を、どうかもらってよ。




「……う、ん」



ぎこちなく返事した善兄の頬に、透明な涙が伝う。


初めて見た涙に、昔の善兄の面影を感じた。