……だから。
私よりもっと好きになれる人を探して、見つけて?
私への執着を、終わらせて?
今すぐに、って言いたいけど、それが無理なのが恋愛だ。
育ちすぎてしまった愛に終止符を打つのは、難しい。長い長い、時間が要る。
いつになるかわからないけど、いつか……いつかでいいから、善兄の重い愛情に応えられる誰かと、幸せになって。
でも、そのいつかは、決して“今”ではない。
でも、善兄の執着が暴れているのは、今。
だからこそ、私は。
「ねぇ、善兄」
善兄を逸らさずに見つめる。
血が滴る音だけが、耳をかすめていた。
「生きてる限り、私は善兄を憎み続ける」
「え?」
「一生、許さない」



