BAD & BAD【Ⅱ】






「私は善兄の本当の家族に……善兄のものには、絶対になれない」



善兄が注いだ愛に、同じ想いを返すことはできない。


善兄の家族への願望を、叶える相手は私じゃない。



多分、昔の優しい善兄だったとしても、答えは変わらなかっただろう。




私には好きな人がいて、それは善兄じゃない。


私にとって、善兄は、大嫌いな人以外の何者でもない。そう、なってしまったんだ。




「何度閉じ込められたって、絶対に逃げ延びる」


「そしたら、また、捕まえるよ」


「そしたら、私もまた逃げる。善兄の鎖にずっと縛られてることはないよ」



無理して繕われた破顔は、傷を負ってもなお、残忍なくらい綺麗だった。


善兄の服に、手のひらの赤が染み込む。




どれだけアピールされて、いいところを教えられても、私の想いは揺らがない。


繰り返しても、善兄は救われない。



きっと、私は生涯、束縛が苦手なままだ。