手のひらを伝って、鮮血の雫が滴った。
肥大した苦痛なんてお構いなしに、一気に善兄との距離を縮めた。
目にも止まらぬ速さで、善兄のみぞおちに回し蹴りをかます。
あまりの勢いに、壁に背中を打ちつけた。
「ぅあ……っ!」
あんたに休む時間は与えない。
咄嗟に善兄のこめかみを片手で鷲掴み、壁に再度後頭部をぶつけた。
衝撃に耐えて立ち上がろうとする善兄は、自覚しているのかいないのか、先ほどの攻撃によってふらついている。
私は善兄の胸板に張り手を突き、足の裏で突き、さらに張り手を重ねた超高速連続攻撃で、強制的に倒した。
「こ、は……く」
仰向けに転倒し、反撃しようとも防ごうともせずに、ただ呆然としている善兄の上に、馬乗りをする。
いつもの強さのない善兄は、愚かな弱者でしかない。
胸倉を掴んで、最大の怒りを一心に込めた眼光で睨んだ。
「誰かを殺してまで私を愛そうとする善兄を、私は愛せない」
手のひらよりも手首が、手首よりも胸が、痛む。
おかしいね。
実際に血が出てるのは、手のひらなのに。



