善兄があまりのショックで手放しかけたナイフを、奪い取って、隅に投げ捨てた。
ナイフがカシャンッ、と血で濡れた床に落下する。
もう、怒りでどうにかなってしまいそうだ。
「どうして、こんなことしたんだ。血だらけじゃないか」
「それはこっちのセリフだ!!」
善兄に大声を浴びせながら、足を振り上げた。
うろたえていたせいでまともに食らい、整った形相にクリティカルヒットする。
「血だらけなのは、私だけじゃない。善兄以外、皆そうなんだよ!」
今の善兄からは、殺気も迫力も感じられない。
だからか、すんなり怒鳴れた。
今なら、きっと、本気で闘える。
感覚がなくなって脱力しかけた手を、握り締めて、痛みをはぐらかす。
その拳で殴りかかるが、さすがに対応され、受け止められる。
これで終わりだと思うな。
私は膝を上げて、善兄の顎を強打した。
「ぐぁ……!」



