一度力を抜いて、深呼吸をする。
震えも、恐怖も、圧迫も消えない。
だけど、どんな状況下だって、自分で最大限の強さを引き出せる。
息を吸って、吐いて、吸って。
「ふんっ、ぐぎぎぎぎぃ~~!」
左手に全身の力を送り、一気に力を出して、鎖を押し出した。
皮膚を引っ掻くように擦りながら、鎖がだんだん手を滑っていく。
そして、
「ぬ、抜けたー!」
完全に束縛を解けた。
両腕が解放され、晴れて自由の身。
そう、喜んでいた時。
「凛!」
師匠の焦りを含んだ声が、脳内に直接響き渡った。
即座に、ステージ前に黒目をずらす。



