勝敗はもう目に見えていた。
だが、3人には、引き下がる気は微塵もなかった。
「もうふらふらじゃないか」
「生憎、俺らは打たれ強いんでね。このくらい、なんともねぇんだよ」
めげずに食らいついていこうとする朔の勇姿に、善兄は無謀だと言わんばかりに顔をしかめた。
負けているというのに、師匠は口角を上げていた。
助けたい、守りたい、勝ちたい。そんな真っ直ぐな想いが伝わってきて、瞳を潤ませる。
苦しそうな3人と比べ、善兄は息ひとつ乱していない。
これが、現状。
いくらプライドをかけたって、逆転の可能性はゼロに近いまま。
「ここまでやってもあきらめないんじゃ、しょうがない」
善兄は肩をすくめて、ちょうど近くに刺さっていたナイフを抜き取る。
ナイフの鈍い輝きが、薄暗い体育館に一際目立っていた。
「潰しに行っちゃうよ」
殺害予告を囁き、ナイフの刃をペロリと舐めた。



