BAD & BAD【Ⅱ】





勝敗はもう目に見えていた。


だが、3人には、引き下がる気は微塵もなかった。




「もうふらふらじゃないか」


「生憎、俺らは打たれ強いんでね。このくらい、なんともねぇんだよ」



めげずに食らいついていこうとする朔の勇姿に、善兄は無謀だと言わんばかりに顔をしかめた。



負けているというのに、師匠は口角を上げていた。


助けたい、守りたい、勝ちたい。そんな真っ直ぐな想いが伝わってきて、瞳を潤ませる。




苦しそうな3人と比べ、善兄は息ひとつ乱していない。


これが、現状。

いくらプライドをかけたって、逆転の可能性はゼロに近いまま。




「ここまでやってもあきらめないんじゃ、しょうがない」



善兄は肩をすくめて、ちょうど近くに刺さっていたナイフを抜き取る。


ナイフの鈍い輝きが、薄暗い体育館に一際目立っていた。




「潰しに行っちゃうよ」


殺害予告を囁き、ナイフの刃をペロリと舐めた。