善兄はかわそうとはせず、迫り来る朔の右足首を鷲掴み、遠心力を利用して真横に放り投げた。


空中で体勢を整えた朔は、持ち前の俊敏さで器用に着地し、致命傷を避けた。



初っ端から派手な闘いだ。



弱肉強食のこの世界、強さが1番の鍵。


歴然とした力の差を、3人はどう埋めていくのだろうか。




「俺達も行こう、凛!」

「おう」


続けて、師匠と凛が突っ込んでいく。



私は皆の闘いを気にしながら、束縛を解こうとガチャガチャいじっていた。


これ、どうやったら取れるの!?




「おりゃあああ!」



叫んでいる師匠は右サイドから、警戒しながら静かに近づく凛は左サイドから、拳を振るい殴りかかる。



善兄は両脇には目もくれず、2人の拳が当たる直前で身を少し引いた。


一瞬の隙ができた2人の後頭部を掴んで、2人の額をゴツン!と強くぶつける。



脳を揺さぶられて目眩が生じ、攻撃できる状態じゃない。