BAD & BAD【Ⅱ】





畳の近くにあるローテーブルの上に置かれてある、あのカップに気づかなくて。


気づいていたら、蜂を狙うコースを変えていた。



なんて言ったって、今の真修には通用しないのは明白だ。




「ご、ごめん、真修。ちゃんと弁しょ……」


「あれ、高かったのに!」


「……弁償する代わりに、私にできることはなんでもするから」


「それならまず、あのカップの残骸を片付けて」


「了解であります」




絶賛立腹中の真修に敬礼してから、割れたカップの破片を回収し始めた。



床が紅茶でびちゃびちゃだ。あとで拭かなくちゃ。


カップが畳の上に落ちなくてよかった。



「うわ、グロ~」



さっきまでパニクっていた弘也が、蜂の死骸をチラ見しながら顔を歪めた。


死んだ虫も怖いなら見なきゃいいのに。




「わざわざ殺さなくても、窓開けて追い出せばよかったじゃねぇか」


「あっ、清掃隊長!」


「いつまでその呼び方続けるんだよ」


「んー、ずっと?」


「やめろ」