話は最後まで静かに聞いてあげてたでしょ?
ここからは、私が想いをぶつける番。
「自分だけが私を見捨てたみたいに、悲劇の主人公ぶってんじゃねぇよ!」
いや、この場合は、自分が不幸なんじゃなくて自分が他人を不幸にしたんだから、悲劇にした主人公の方が正解?ん?日本語難しいな。
もうどっちだっていいや。
「見て見ぬフリして逃げたのはムカつくよ?」
「ご、ごめ……」
「でもね」
「……でも?」
謝罪を遮って、声を張り上げた。
「それは真修だけじゃない。残念ながら、ほとんどがそうなの。自惚れんな!!」
皆、いじめを傍観していた。
皆、噂に騙された。
凛さえも、悪役になった私に近づけなかった。
自分第一の人間が、馬鹿げた行為を正当化して、見過ごして、嘲笑っている。
たまに私みたいなまがいもののヒーローが現れても、状況がどう転ぶのかはわからない。悪くなるかもしれないし、良くなるかもしれない。



