私の知らないところで、そんな約束が交わされていたんだ。
そういえば、今回監禁される前に、善兄が『真修くんは、こっち側なんだ』って言っていたっけ。
あの真意は、その交換条件の下に成り立っていたんだ。
「それで、真修は交換条件を呑んだんだね」
「うん。承諾してから、善さんが幸珀を好きなことや幸珀を監禁したことを聞かされたんだ」
やり方が、詐欺師と同じじゃん。弱みを握って脅すなよ。大事なことは条件を出す前に言えっつの。
善兄の悪どさには呆れるわ。
「承諾を撤回したくても、善さんが怖くてできなかった」
そこまで計算して、善兄は先に条件を提示したんだろう。
ほんと怖いよ、あの人は。
抜け目がなくて、こちらに勝機を覗かせてはくれない。
「高校生になって、昔父さんも属してた神雷に入って、びっくりした。神雷に、幸珀が慕ってた風紀委員長がいたから」
えっ、真修、すぐ気づいたの?あの凛が風紀委員長だって?すごいね。私、気づかなかったよ。



