急に、喉が渇いた。
善兄の余裕は、どこから生まれてくるの?年上だから?
惨敗した気分になって、もどかしくなる。
「善さんがとても大人びて見えて、思わず相談しちゃったんだ」
相談する相手を間違えた。
そういう副音声が、潜んでいる気がしてならなかった。
そして、それは正しい。
「溜め込んでいた葛藤を吐き出した後、善さんは言った。『友達を見捨てるなんて、真修くんは愚かだね』って」
昔は良き理解者だった善兄のせいで、自責の念が決定的に定着してしまったのだろう。
私を監禁してる時点で、善兄も愚かだと思うけど。
「自分が感じるのと誰かに言われるのとじゃ、重さが全然違ってさ」
へらっと笑う姿が痛々しくて、見るに耐えなかった。
「後悔に押しつぶされそうになった俺に、善さんが交換条件を持ちかけてきたんだ」
「交換条件って……?」
「俺が見捨てたことを幸珀に黙っている代わりに、善さんの恋の手伝いをすること。それが、善さんの出した条件だった」



