BAD & BAD【Ⅱ】





私を遠ざけていたのに、探してくれてたの?



……そこが、真修のいいところだよね。


避けてる人をすぐに探しに行けるなんて、本当に優しいなぁ。



「いくら探しても見つからなくて、家の近くをもう一度探してみようと道を引き戻そうとした時、幸珀を見つけたんだ」



私を見つけた?


でも、あの事件があった日、私は真修の姿は見ていない。



小さな矛盾が、不安を過らせた。




「幸珀は、朔に泣きついていた」



え?

あの時、あの場所に、真修もいたの?



「俺はその光景を、遠くから眺めてたんだ。気づかなかったでしょ?」


「う、うん」



たどたどしく頷くと、真修は自分自身を嘲笑うように目尻を細めた。



「どうして、声をかけてくれなかったの?」


「……しようとしたけど、できなかった」