「逃げた後で、ものすごく後悔した。でも、引き返そうとはしなかった。自分を1番に考えちゃったんだ」
誰だって、敵を作りたくはない。
自分を可愛がって、嫌われないように取り繕って、周りと同調してる。
それが苛立たしくも当たり前になっていて、否定してもそれじゃダメだと訴えても、結局意識は払拭できずに根付いてしまっているのが現実。
所詮、人間の集団心理なんて、クズの塊だ。
「最低でしょ?」
やめてよ、真修。
それ以上、自分を自分で傷つけないで。
真修の心は、確かに泣いていた。
「それから、裏切ったようでなんだか後ろめたくなって、幸珀に会いづらくなった」
「え?」
「無意識のうちに、幸珀を避けてたんだ」
味方になってくれなかったことよりも、会いづらいと思われてたり避けられてたりしてたことの方が、よっぽどショックだった。



