BAD & BAD【Ⅱ】






「俺、それがすごく嫌で、幸珀を侮辱するなって怒鳴りたかった」



かっこいいね、真修は。


朔なんか、学年が違ったからか、“あの日”の出来事を後日噂で知ったって言ってたのに。



「幸珀を助けたかった。幸珀の味方になってあげなくちゃって、思った」


「ありがとう、その気持ちだけで十分だよ」



真修は首を横にふるふる振って、お礼を拒んだ。



「ありがとうだなんて、言わないで」


「なんで?」


「……だって、実際は思っただけで、幸珀を助けられなかった」



拘束された腕が、しびれる。

これだから、束縛は嫌いなんだ。


真修を支えてあげたいのに、近くに行けない。




「勇気がなくて、逃げちゃったんだ」



顔を上げた真修と、目が合う。



不細工に持ち上げられた口角が、ごめんね、とかすかに動く。


真修の感情をそのまんま表しているようだった。