私のせいで、真修は今、息苦しそうな顔をしているのだろうか。
「“あの日”俺が登校した時には、幸珀のクラスが騒ぎになってるって噂が学年中……いや学校中で噂になってた」
途中何度もくぐもりながら、語られていく。
脳裏に、“あの日”の記憶が早送りで再生されていた。
「嫌な予感がして幸珀のクラスに行ってみたら、教室の前に生徒がいっぱい集まってた」
大勢の野次馬が群がっている場面で、記憶の映像は一時停止される。
うん、憶えてる。
その野次馬の中に、凛がいたことも。
「皆、幸珀を悪者扱いしてた。『円堂幸珀がクラスメイトに暴力を振るった』『クラスメイトをいじめた』『ひどい奴だ』って」
「そっか」
そりゃ、そうなるよね。
私がいじめてたわけじゃないけど、殴ったのは事実だし。
私自身、誤解を解こうとはしなかった。
悪役になれば丸く収まるなら、それでいいかなって妥協したんだ。



