剛は元幹部でも、今は下っ端のくせに、幹部室に入れてずるい。
たかやんか弘也が今回だけ許可したとしても、だ。
特別扱いはよくないぞ!
「皆で蜂退治しよう!」
遊戯室からホールにやって来た師匠が、気合い十分に拳を突き上げた。
元気いいですね、師匠。
師匠のあとに続いてホールに集った桃太郎と真修の手には、虫取りあみが。
2人とも、用意いいな。
「あ、剛、私にもスリッパちょうだい」
「はいよ」
「あんがと」
階段を下りてきた剛が持っていたスリッパを1つ借りた。
蜂騒動のせいで、私の格好がいつもと違うことに誰もツッコミを入れてこないのは、この際置いておこう。本当はつっこんでほしかったけど。
溜まったストレスの発散と暇つぶしを兼ねて、私も蜂退治に協力してやるか。
「そういえば、聞いたことがある」
「何を?」
「蜂を生きたまま食べれば、不死身になれるって」
「んなわけないだろ、お前はアホかっ」
「いっ……!!」
条件反射で、剛の頭をスリッパで殴ってしまった。
真面目な顔して、いきなり変なこと言うな。



