女子にハートを散らした視線を注がれた繁華街を抜け、神雷の支配が及ぶ領域に入った。
いつもより、逆ナンされた回数が多かった気がする。
私のフェロモンに、女子達はやられちゃったんだね。
モテモテで困っちゃうなあ。
高級フレンチを逃して落ち込んでいた気持ちを、なんとかして持ち直した。
このフェロモンが男子どもにも効けば、最強なのにな。
暗くなってきた空に、ちらほらと星が輝きだした頃。
洋館に着いて、重厚な扉をゆっくり開けた。
「ぎゃああああ!!」
「っ!?」
ギィ、と軋む扉の隙間から轟いたのは、弘也の悲鳴だった。
な、なな、何ごと!?
急いで洋館に踏み入れたら、猛スピードで階段を駆け下りてる弘也と目が合った。
「何かあったの?」
「む、む、む……」
「む?」
「む、虫が出たんだよ!!」
「は?」



