BAD & BAD【Ⅱ】





恐怖は萎れるどころか、膨れ上がっていた。


頭の内側を鉄パイプでガンガン殴りられている感覚に襲われる。



怖いし、痛いし、もう嫌だ。

今日は、最低最悪な一日だ。




ここ、どこなんだろう。


南側はあまり来たことがないから、現在地も、どうすれば家に帰れるのかもわからない。



不安で、心拍数が上がっていく。



『はぁ、はぁ、はぁ……』


息が、続かない。



疲れてきて、足が重くなる。


走る速さが、どんどん遅くなっていった。



『動け、このポンコツ!』



拳で太ももを叩こうとして、気づく。


声も手も足も、廃校を出てからもずっと震えていたことに。



『根性ないんじゃないか?私』




体が重いままでいい。震えたままでいい。


今はただ、走れ。

悔しさと恐ろしさを糧に。