BAD & BAD【Ⅱ】





窓の破片が、キラキラ輝く。


宙に飛び出た私の体が、落下していく。



地面を見据えながら、空中で体勢を整えた。




『……っ、ふぅ』



軽やかに、とはいかなかったが、無事に着地できた。


足がじーんとする。でも、どこも怪我はしていない。



服についた破片を払いながら上を見上げたら、善兄が割れた窓から顔を出していた。


2階、だったんだ。案外低くて助かった。



私は善兄を指差して、叫んだ。



『善兄のことなんか、大嫌いっ!』



最後にベーッと舌を出して、一目散に逃げ出した。




背を向けた私に、善兄がどんな表情をしていたのか、私には知る由もない。






私は急いで廃校の敷地内を出て、無我夢中に走っていた。


夕闇の中、背後を気にしながら、ひたすら足を動かす。



善兄が追ってきたらどうしよう。

追いつかれたらどうしよう。


まるで、終わらない悪夢が、繰り広げられているようだった。