あきらめないよ。
後悔したくないから。
『私、自分で思ってた以上にバカだったみたい』
『え?』
『じゃあね、善兄』
振り返り、駆け出す。
私はやっぱり、悶々と考えているより、全力でぶち当たりたいんだ。
答えを見つけちゃったら、行動しなくちゃもったいない。
『ま、まさか……!』
私がこれから何をするのかわかり、目を見開く。
今更気付いたところで、もう遅いよ。
窓枠に足をかけ、両腕を交差して頭を守るように体を丸める。
そのまま流れに乗って、勢いをつけて窓にダイブした。
『幸珀!』
――パリンッ……!
善兄の声に数拍遅れて、窓が割れる音が響いた。
ここが何階であろうと、軽やかに着地してみせる。万が一失敗しちゃったら、片方の腕や足を犠牲にしてでも、逃げ切ってみせる。
それくらいの覚悟はあるんだ!



