BAD & BAD【Ⅱ】





どうすれば、ここから脱出できる?



何か……何かないの?

考えろ。思考を止めるな。血を循環させろ。脳よ働け。痛みに負けるな。


この絶体絶命の状況から逆転できる策は、何か……。



俯いた視界に映ったのは、灰色の床にひっそり浮かんでいた、自分の影だった。


なんとなく、窓に目を仰いでみる。



空はオレンジと藍色のグラデーションで、まだ少し明るい。夜になってしまえば、ここは完全に暗くなる。


その前に逃げ出さないと。




どうしたら…………あっ。



もう1つ、出口があった。


ここの窓を割れば、善兄とは相対せずに外に行ける。



だけど、ここが何階なのかわからない。確かめてる間に善兄に背後を取られたら、即アウト。ゲームオーバーだ。そのため、確認のしようがない。


3階くらいなら運動神経の良さで、飛び下りても平気かもしれなくもないけど、4階以上だと自信がないなぁ。



窓から善兄へ、視線を泳がせる。


正攻法で行くか、賭けに出るか。模索し続けるか、早さを優先するか。



『あきらめがついた?』



瞼を伏せて、深呼吸をする。




……よし、決めた。