どうすれば、ここから脱出できる?
何か……何かないの?
考えろ。思考を止めるな。血を循環させろ。脳よ働け。痛みに負けるな。
この絶体絶命の状況から逆転できる策は、何か……。
俯いた視界に映ったのは、灰色の床にひっそり浮かんでいた、自分の影だった。
なんとなく、窓に目を仰いでみる。
空はオレンジと藍色のグラデーションで、まだ少し明るい。夜になってしまえば、ここは完全に暗くなる。
その前に逃げ出さないと。
どうしたら…………あっ。
もう1つ、出口があった。
ここの窓を割れば、善兄とは相対せずに外に行ける。
だけど、ここが何階なのかわからない。確かめてる間に善兄に背後を取られたら、即アウト。ゲームオーバーだ。そのため、確認のしようがない。
3階くらいなら運動神経の良さで、飛び下りても平気かもしれなくもないけど、4階以上だと自信がないなぁ。
窓から善兄へ、視線を泳がせる。
正攻法で行くか、賭けに出るか。模索し続けるか、早さを優先するか。
『あきらめがついた?』
瞼を伏せて、深呼吸をする。
……よし、決めた。



