愛を尽くしてるぅ?

今までのどこに愛を……。



ふと頭を過ぎった、ひとつの憶測。


……えっ、ま、まさか。




『善兄が私を閉じ込めてるのって、私が好きだから?』


『やっとわかってくれて嬉しいよ』


『本当にそうなの!?』


『うん』




さりげなく抱きしめてきた善兄を、蹴りつけようとしたら華麗にかわされた。ちくしょう。



そんなことで監禁してたなんて。


だから熱く恋やら愛やら語ってたのか。



だったら最初からはっきりそう言えよ!言い方が紛らわしいんだよ!



善兄をヤンデレと判明した時点で気づくべきだった。


今日ほど自分のアホさを呪ったことはない。




『南方面にこんなうってつけの場所があってよかった』



瞬間、善兄の雰囲気が変わった気がした。


野獣のように激しくて、蝶のように妖艶で、それでいてゾッとするくらい禍々しい雰囲気。



『幸珀が理由をわかってくれたし、これで思う存分、幸珀を独り占めできる』



善兄が、私の髪の先を指に絡めて、弄んだ。


不快感に塗れて、背筋が凍る。