観念して、真面目にパトロールするか。
帰ってきた時に凛がまだ寝てたら、顔に落書きしてやろう。油性のペンで。ニッヒッヒ。
イタズラ心を駆り立てている私の横で、真修が取っ手をガチャガチャ動かしていた。
「……真修、早く扉開けてよ」
「なぜか開かないんだよ」
「そりゃ引いてたら開かないでしょうよ」
「へ?」
私が真修の代わりに、扉を押した。
開いた扉に、真修がぱちくりと瞬きする。
何回ここに来てるのさ。扉の開け方くらいドジらないでよね。
「あは、間違えちゃった」
「まったくもう」
前言撤回。真修は大人なんじゃなくて、ただ頑固で間抜けなだけだ。
私は呆れながら、真修と共に洋館をあとにした。
「今日は繁華街じゃなくて、こっちを見回ろう」
「りょーかい」
真修の提案に快く賛成し、繁華街のある方面ではなく、退廃した南の方角を中心に巡回することになった。



