桃太郎を手早くどかして、凛を起こそうといろんな方法を試してみた。
だけど、さっきより大きな声で叫んでも、往復ビンタしても、アイスで目覚めさせようとしても、なかなか起きなかった。
今日の眠りは普段以上に深いな。
「凛、起きやがれー!!」
「そこらへんにしとけ」
八つ当たりを込めて、凛の胸ぐらを掴んで前後にグラグラさせても起きず、とうとうたかやんにストップをかけられた。
ここまでしても起きないの?
凛を眠らせてる睡魔、強すぎ。
「今日は俺と幸珀の2人でパトロールしよ?」
「凛は免除?ずるい!だったら私も……」
「それはダメ。幸珀はいつもサボってるだろ?」
「真修のバカ、アホ、ケチ」
「ほら行くよー」
真修は私の悪口を華麗にかわして、私の腕を引っ張って洋館を出ようと、扉の取っ手を掴んだ。
もしかしたら、真修が幼なじみの中で1番大人なのかもしれない。



