美容師さん風のテンションで切っていこうとしたのに、いきなりどうしたの?
「なに?」
「僕が頼んだのは、ギザギザじゃなくてパッツン!パッツンだよ!」
「わかってるよー。今のは冗談だって」
「今は冗談言っていい時じゃなーい!!」
弘也の緊張を和らげようとした、私なりの配慮だったんだけどなぁ。弘也にはわかんなかったか。もっとはっちゃけてボケるべきだったかな。
焦った弘也は「もういいっ」と、結局自分で前髪を切り始めてしまった。
私の好意を無下にするとは、生意気だ。
唇を尖らせていたら、真修に声をかけられた。
「幸珀、そろそろ行かないと」
「どこに?」
「パトロール」
えっ、私、今日パトロールの当番?
露骨に顔を歪めて、嫌そうにする。
めんどい。パトロールしたくない。よし、サボろう。
「私、用事があったんだった」
手をポンと叩いて、扉の方に歩いていこうとした。
が、真修に肩を掴まれ、行く手を阻まれてしまった。



