BAD & BAD【Ⅱ】





美容師さん風のテンションで切っていこうとしたのに、いきなりどうしたの?




「なに?」


「僕が頼んだのは、ギザギザじゃなくてパッツン!パッツンだよ!」


「わかってるよー。今のは冗談だって」


「今は冗談言っていい時じゃなーい!!」




弘也の緊張を和らげようとした、私なりの配慮だったんだけどなぁ。弘也にはわかんなかったか。もっとはっちゃけてボケるべきだったかな。



焦った弘也は「もういいっ」と、結局自分で前髪を切り始めてしまった。


私の好意を無下にするとは、生意気だ。




唇を尖らせていたら、真修に声をかけられた。



「幸珀、そろそろ行かないと」


「どこに?」


「パトロール」



えっ、私、今日パトロールの当番?



露骨に顔を歪めて、嫌そうにする。


めんどい。パトロールしたくない。よし、サボろう。



「私、用事があったんだった」



手をポンと叩いて、扉の方に歩いていこうとした。


が、真修に肩を掴まれ、行く手を阻まれてしまった。