聞いているよ。
最後まで、唄子ちゃんの想いを。
「どんなことをしてでも、ひろちゃんと……初恋の人と結ばれたかった。童話のようなハッピーエンドにしたかった」
「うん」
「いつの間にか、そういう願望に似た義務感が生まれていました」
「うん」
唄子ちゃんの手から力がどんどん抜けて、ハンカチが足元に落ちてしまった。
童話に、バッドエンドはあまりない。子どもに夢を与える、幸せな結末ばかり。
現実とは、大違いだ。
「初恋は永遠だって、永遠は存在するんだって、心から信じていました。運命の恋に、お姫様に、ずっとずっと憧れていました」
俯いた唄子ちゃんは、制服越しに胸元をキュッと弱々しく握った。
数秒の沈黙の後、唇が震えながらもかすかに動く。
「……だけど、本当は、心のどこかで気づいてたんだと思います。初恋が、過去のものになっていたことに。あたしにはもう、ひろちゃんを想う恋心がないことに」
また、唄子ちゃんの頬に涙が滑る。
「だから、平然とひどいことができたり、ひろちゃんに理想を押し付けていたりしていたのかもしれません」



