BAD & BAD【Ⅱ】





痛いところを突かれ、唄子ちゃんは瞳を大きく揺らした。



笑顔が、壊れていく。


左目から1滴の涙が流れると同時に、膝から崩れ落ちてしまった。




キスしなかったんじゃない。



「キスできなかったんだよね?」



私は唄子ちゃんのそばにしゃがんで、背中を優しくさすってあげた。



唄子ちゃんが抱いていた愛は、本物ではなかったから。唄子ちゃんは弘也のことが好きではなかったから。


だから、拒否してしまったんだよね?




「泣きたい時は、泣いていいんだよ」


「幸珀、せんぱ……っ」



私の一言で、唄子ちゃんはわんわん泣き出した。



涙がこみ上げているのはどんな感情のせいなのか、私にはわからない。


けれど、唄子ちゃんが泣いている姿は小さな子どものようで、守ってあげたくなった。




秘策は成功。唄子ちゃんのプライドは、ボロボロに砕かれた。


あきらめがついたのかはまだ判断し難いが、恋愛ぶち壊し大作戦はうまくいったと断言してもいいだろう。