BAD & BAD【Ⅱ】





弘也が、唄子ちゃんに一歩近づいた。



「そう、本当の弘也は僕で、こっちが鷹也。僕達の演技、上手だった?」


「なんで、こんなことしたの?」



すぐに完璧な笑顔を貼り付けた唄子ちゃんに、思わず魅了された。


取り乱してもおかしくないのに、ここで笑うなんて……。



なんとなく、幼い頃にお母さんが読んでくれた絵本の『お姫様は、いつも幸せそうに笑っていました』という文章を思い出した。




「あんたの愛が本物かどうか、テストするためだよ~」


「ほ、本物に決まって……」


「さっきので、はっきりしたっしょ?」



唄子ちゃんの声を遮って、威圧的に告げる。



「あんたは僕を好きなんじゃない。初恋に依存してるだけなんだよ」


「ちが……!」


「違う?じゃあ、どうしてキスしなかったの?」



ずるいな、弘也は。

ここぞとばかりに、締まりのある口調をしてる。