BAD & BAD【Ⅱ】





やけに朔が重苦しそうにしていて、冗談とは思えなくなって。


仕方なく、記憶の引き出しを片っ端から調べてみる。




んー…………あっ。




「あぁ、あの時か」


「やっと思い出したか、婆さん」


「誰が婆さんだ」



私は現役高校生だっつの!

泣いたことをちょっと忘れてただけだし!


あれは、結構前のこと、だもんなぁ。




「あの事件から、もう3年か」


「事件ってほど、大ごとじゃないけどね」


「あれは――お前が監禁されたんだから、れっきとした事件だろ」



私と朔を纏う空気の質が、ひどく冷たくなっていく。



縛られた感覚が蘇って、ギュッと拳を握り締めた。


時が経つのは早い。