やけに朔が重苦しそうにしていて、冗談とは思えなくなって。
仕方なく、記憶の引き出しを片っ端から調べてみる。
んー…………あっ。
「あぁ、あの時か」
「やっと思い出したか、婆さん」
「誰が婆さんだ」
私は現役高校生だっつの!
泣いたことをちょっと忘れてただけだし!
あれは、結構前のこと、だもんなぁ。
「あの事件から、もう3年か」
「事件ってほど、大ごとじゃないけどね」
「あれは――お前が監禁されたんだから、れっきとした事件だろ」
私と朔を纏う空気の質が、ひどく冷たくなっていく。
縛られた感覚が蘇って、ギュッと拳を握り締めた。
時が経つのは早い。



