「はあ~~」
「ため息つくな、ウザい」
「こんなしょぼい俺様と帰る時間の無益さを考えたら、思わずため息が……」
「普通なら、こんないい男と一緒に帰れて泣いて喜ぶところだぞ?」
「お前のために流す涙など無い」
「……可愛くねぇな」
泣いて喜ぶじゃなくて、泣いて嫌がるの間違いじゃないの?
ていうか、それを言うなら、私みたいないい女と一緒に帰れる方が、泣いて喜ぶでしょ。
「昔、俺の前で泣いたことあるくせに」
「記憶と妄想の区別、ちゃんとついてる?」
「心配されなくても、ついてるわアホ」
「じゃあ変な妄想を事実みたいに話さないでくれる?」
「妄想じゃねぇよ!」
どう考えても、妄想でしょ。
私が朔の前で泣くとか、ありえなさすぎて笑っちゃう。
「お前が中2の時に1回、あっただろ?」
中2?
あったっけ?



