BAD & BAD【Ⅱ】






「はあ~~」


「ため息つくな、ウザい」


「こんなしょぼい俺様と帰る時間の無益さを考えたら、思わずため息が……」


「普通なら、こんないい男と一緒に帰れて泣いて喜ぶところだぞ?」


「お前のために流す涙など無い」


「……可愛くねぇな」




泣いて喜ぶじゃなくて、泣いて嫌がるの間違いじゃないの?


ていうか、それを言うなら、私みたいないい女と一緒に帰れる方が、泣いて喜ぶでしょ。




「昔、俺の前で泣いたことあるくせに」


「記憶と妄想の区別、ちゃんとついてる?」


「心配されなくても、ついてるわアホ」


「じゃあ変な妄想を事実みたいに話さないでくれる?」


「妄想じゃねぇよ!」




どう考えても、妄想でしょ。


私が朔の前で泣くとか、ありえなさすぎて笑っちゃう。



「お前が中2の時に1回、あっただろ?」



中2?

あったっけ?