お互い、これからの学校生活が大変になりそうだね。
私が困った時は、助けてくれると嬉しいな!ついでに、何か奢ってくれたらもっと嬉しいな!甘い物だともっともっと嬉しいな!!
「じゃ、じゃあね、唄子ちゃん」
私は唄子ちゃんに別れを告げて、朔と剛を連れて、2人の背中を追いかけた。
たかやんと弘也と並んだ私を、温度のない目つきで眺めていた唄子ちゃんは、うっすらと微笑む。
「ひろちゃんのお姫様は、他の誰でもない、あたしだけなんだから」
自己暗示するように、運命にすがるように。
唄子ちゃんが漏らした独白は、空高く舞い上がっていった。
唄子ちゃんの柔らかな髪をさらった強風には、新たな波乱が孕まれていた。
校門でたかやんと弘也と剛の3人と別れた私と朔は、夕暮れ時の空の下、2人きりの帰り道をたどっていた。
放課後の貴重な時間を朔と過ごすなんて、もったいなさすぎる。
どうせなら、唄子ちゃんと帰りたかった。帰り道が同じか知らないけど。



