BAD & BAD【Ⅱ】






「ちなみに、ひろちゃんの許嫁です」


「えええええ!?」



唄子ちゃんは衝撃的発言を軽快に落とし、弘也の腕に抱きついた。



法律上、いとこ同士は結婚できるんだっけ。


弘也、こんなに可愛い許嫁がいながら、あちこちでナンパしてたの?最低だな。



「お前が勝手に言ってるだけっしょー?」



弘也が、自分に絡みついてる唄子ちゃんの腕を、冷たく放した。



女の子には無条件に優しい弘也が、唄子ちゃんには素っ気なく接しているこの現状に、驚きを隠せない。


たかやん以上に、弘也の方が断然おかしい。



毒キノコでも食べたのかな。




「でも、ひろちゃんはあたしの王子様だから」



おかしいのは、唄子ちゃんもだ。


普通ならひるみそうなのに、変わらずに笑顔を浮かべている。