「ちなみに、ひろちゃんの許嫁です」
「えええええ!?」
唄子ちゃんは衝撃的発言を軽快に落とし、弘也の腕に抱きついた。
法律上、いとこ同士は結婚できるんだっけ。
弘也、こんなに可愛い許嫁がいながら、あちこちでナンパしてたの?最低だな。
「お前が勝手に言ってるだけっしょー?」
弘也が、自分に絡みついてる唄子ちゃんの腕を、冷たく放した。
女の子には無条件に優しい弘也が、唄子ちゃんには素っ気なく接しているこの現状に、驚きを隠せない。
たかやん以上に、弘也の方が断然おかしい。
毒キノコでも食べたのかな。
「でも、ひろちゃんはあたしの王子様だから」
おかしいのは、唄子ちゃんもだ。
普通ならひるみそうなのに、変わらずに笑顔を浮かべている。



