接近している剛を避けるように、手の内からスマホが滑った。
宙を飛びながら、だんだんと床に落下していっているスマホに対する、弘也と剛の正反対の表情を、ぜひともスローモーションで見たかった。
「あああああっ」
弘也の焦りを込めた叫び声が響く中、遊戯室の扉が音を立てて開いた。
「アイス食いたい。眠い」
「お前なぁ……」
「凛!朔!スマホ!!」
「……ん?」
「スマホ?」
集会が終わって遊戯室に入ってきた凛と朔に、弘也がそっちの方に飛んでるスマホを示した。
朔は反射神経の良さで、スマホが落ちる寸前でキャッチした。
「これのことか?」
「ナイスキャーッチ!!」
「んおっ、ビビった。幸珀、いきなり大声出すな」
「いやあ、つい興奮しちゃってさあ」
だって、ここにいる全員が、弘也のスマホはご臨終確定って予想してたのに、朔が取っちゃうんだもん。テンション上がるに決まってんじゃん。



