BAD & BAD【Ⅱ】





接近している剛を避けるように、手の内からスマホが滑った。


宙を飛びながら、だんだんと床に落下していっているスマホに対する、弘也と剛の正反対の表情を、ぜひともスローモーションで見たかった。



「あああああっ」



弘也の焦りを込めた叫び声が響く中、遊戯室の扉が音を立てて開いた。




「アイス食いたい。眠い」


「お前なぁ……」


「凛!朔!スマホ!!」


「……ん?」


「スマホ?」




集会が終わって遊戯室に入ってきた凛と朔に、弘也がそっちの方に飛んでるスマホを示した。


朔は反射神経の良さで、スマホが落ちる寸前でキャッチした。




「これのことか?」


「ナイスキャーッチ!!」


「んおっ、ビビった。幸珀、いきなり大声出すな」


「いやあ、つい興奮しちゃってさあ」




だって、ここにいる全員が、弘也のスマホはご臨終確定って予想してたのに、朔が取っちゃうんだもん。テンション上がるに決まってんじゃん。