BAD & BAD【Ⅱ】






「知り合いだったのか?」


「うん、夏休みに、唄子ちゃんを手伝ってあげたんだ」


「手伝う?」


「弘也探しをちょっと、ね」


「あの時はありがとうございました」


「いえいえ、どういたしまして」




ふーん、と相槌を打つ剛のそばで、たかやんと弘也は陰りを帯びていた。



「あの……」


「ん?」


「幸珀先輩は、ひろちゃんかたかちゃんの彼女さん、だったりしますか?」



チラチラと窺いながら尋ねた唄子ちゃんの声音が、急に刺々しくなった気がしたけど。


私の勘違い、かな。



ていうか、え?彼女?

弘也か、たかやんの?


夏休みにちゃんと『ど、同級生、みたいな?』って答えたのに、唄子ちゃんに大宮ツインズのどちらかの彼女だと思われたの?またしてもショーック!




「弘也かたかやんの彼女……うっわ、それ最悪」


「声に出てんぞ」


「あっ、しまった。でも、朔もそう思うでしょ?」


「まあ、普通に考えて……ねぇよな」


「俺達も同感。お前が彼女とか、ははっ、ありえねぇ」


「だよね~!幸珀を彼女にするくらいなら、剛と付き合った方がまだマシだよ」


「えっ。俺は弘也と付き合うの嫌だけど」


「ガチで引かないでよ、剛。例えだってば~」