いちごさん、普段は暖色系を着てるイメージが強かったけど、黒も似合うな。大人っぽい。
「墓参り?誰の?」
ズバズバ聞く朔の脇腹を、肘で勢いよく突いた。
お前、黙れ。
「いってぇな!いきなり何すんだよ!」
「あんたが無神経なのがいけないんでしょ!?」
「俺のどこが無神経なんだよ!」
空気読めてないところだよ!
ちょっとは気を遣え!
「ふふっ、騒がしいわね」
「昔を思い出すわね、いちごちゃん」
「そうね、懐かしいわ」
うるさく口喧嘩している私と朔を眺めながら、いちごさんとお母さんが学生時代に想いを馳せていた。
かちゃん、といちごさんが持っていたティーカップをお皿に置いた甲高い音が、軽快に響く。
「いいのよ、幸珀ちゃん」



