BAD & BAD【Ⅱ】





いちごさん、普段は暖色系を着てるイメージが強かったけど、黒も似合うな。大人っぽい。



「墓参り?誰の?」



ズバズバ聞く朔の脇腹を、肘で勢いよく突いた。


お前、黙れ。



「いってぇな!いきなり何すんだよ!」


「あんたが無神経なのがいけないんでしょ!?」


「俺のどこが無神経なんだよ!」



空気読めてないところだよ!

ちょっとは気を遣え!




「ふふっ、騒がしいわね」


「昔を思い出すわね、いちごちゃん」


「そうね、懐かしいわ」



うるさく口喧嘩している私と朔を眺めながら、いちごさんとお母さんが学生時代に想いを馳せていた。



かちゃん、といちごさんが持っていたティーカップをお皿に置いた甲高い音が、軽快に響く。



「いいのよ、幸珀ちゃん」