BAD & BAD【Ⅱ】






家の近くまでやって来た。


すると朔が、私の家の前に目を凝らして、眉を寄せた。



「どうかした?」


「あの車……」



車?

あ、ほんとだ。うちの前に止まってる。


うわあ、遠目から見ても、高級そうなのはわかる。かっこいい。



「家に誰か来てんのかな」


「あれ、母さんのかもしんねぇ」


「え!?」



母さんって、朔のお母さんで女優のいちごさん?



私の家と朔の家と真修の家は家族ぐるみで仲がいいから、誰かの家に親や子どもが遊びに行くのはよくあることだけど。


いちごさんは仕事で忙しくて滅多に休みが取れなくて、あまり遊びに行ったり来たりする機会がなかった。



今日は珍しくオフなのかも。




「朔もあがってく?」


「ああ。今日は俺も神雷の洋館に行く予定だったし、茶でも飲んでお前のこと待ってるわ」


「朔、今日こっち来るんだ」


「……聞いてねぇのか?」