家の近くまでやって来た。
すると朔が、私の家の前に目を凝らして、眉を寄せた。
「どうかした?」
「あの車……」
車?
あ、ほんとだ。うちの前に止まってる。
うわあ、遠目から見ても、高級そうなのはわかる。かっこいい。
「家に誰か来てんのかな」
「あれ、母さんのかもしんねぇ」
「え!?」
母さんって、朔のお母さんで女優のいちごさん?
私の家と朔の家と真修の家は家族ぐるみで仲がいいから、誰かの家に親や子どもが遊びに行くのはよくあることだけど。
いちごさんは仕事で忙しくて滅多に休みが取れなくて、あまり遊びに行ったり来たりする機会がなかった。
今日は珍しくオフなのかも。
「朔もあがってく?」
「ああ。今日は俺も神雷の洋館に行く予定だったし、茶でも飲んでお前のこと待ってるわ」
「朔、今日こっち来るんだ」
「……聞いてねぇのか?」



