BAD & BAD【Ⅱ】





朔は心配性だなぁ。


ボディーガードとしては、警戒心もあって少し過保護でもあって、なかなかいいと思うよ。ギリギリ合格点くらい。



「兄貴じゃないんなら誰にやられたんだよ」


「内緒」


「はあ?」



朔の眉尻が、ピクリと上がった。



笑みを浮かべながら歩き出した私の隣に並ぶと、教えろよと何度もせがんできた。


しつこいな。鬱陶しいよ。内緒ったら内緒なの。



「朔は知らなくていいんだよ」



だって、これは、私と唄子ちゃんの一種のゲーム。関係者以外立ち入り禁止。野次馬は一切お断り。


安全の保証はないけど、危険と妖艶が相まって、面白いゲームだよ。




「仲間はずれみたいで悲しいでちゅかー?」


「んなわけねぇだろ!?その口調やめろ、イラつく」



冗談半分でからかったら、まじでキレやがった。短気だな。もっと大人になりなさい。


早足になった朔を失笑しながら、適当に謝っておいた。