朔は心配性だなぁ。
ボディーガードとしては、警戒心もあって少し過保護でもあって、なかなかいいと思うよ。ギリギリ合格点くらい。
「兄貴じゃないんなら誰にやられたんだよ」
「内緒」
「はあ?」
朔の眉尻が、ピクリと上がった。
笑みを浮かべながら歩き出した私の隣に並ぶと、教えろよと何度もせがんできた。
しつこいな。鬱陶しいよ。内緒ったら内緒なの。
「朔は知らなくていいんだよ」
だって、これは、私と唄子ちゃんの一種のゲーム。関係者以外立ち入り禁止。野次馬は一切お断り。
安全の保証はないけど、危険と妖艶が相まって、面白いゲームだよ。
「仲間はずれみたいで悲しいでちゅかー?」
「んなわけねぇだろ!?その口調やめろ、イラつく」
冗談半分でからかったら、まじでキレやがった。短気だな。もっと大人になりなさい。
早足になった朔を失笑しながら、適当に謝っておいた。



