BAD & BAD【Ⅱ】





ん?朔、どったの?



不思議で私も立ち止まれば、朔は私の両肩をグッときつく掴んできた。


な、何!?




「体育倉庫に閉じ込められたのか!?本当に!?」


「そ、そうだよ……?」


「誰に!?」


「急にどうしたの」




いつもの自信過剰な余裕がない。

動じすぎでしょ。冷静になってよ。



ふと視線を落として一瞥した、肩を鷲掴みにしている朔の手は、ひどくこ刻めに震えていた。



「誰に監禁されたんだよ!」


「朔、聞いて」



きっと、朔も、思い出してしまったんだ。体育倉庫の件と、あの事件を重ねて。



時々、思うんだ。

朔は、被害者の私以上に、あの事件を気にしてるんじゃないかって。



もしもそうなら、今すぐ気にするのをやめてほしい。


あの事件に束縛されないで。