ん?朔、どったの?
不思議で私も立ち止まれば、朔は私の両肩をグッときつく掴んできた。
な、何!?
「体育倉庫に閉じ込められたのか!?本当に!?」
「そ、そうだよ……?」
「誰に!?」
「急にどうしたの」
いつもの自信過剰な余裕がない。
動じすぎでしょ。冷静になってよ。
ふと視線を落として一瞥した、肩を鷲掴みにしている朔の手は、ひどくこ刻めに震えていた。
「誰に監禁されたんだよ!」
「朔、聞いて」
きっと、朔も、思い出してしまったんだ。体育倉庫の件と、あの事件を重ねて。
時々、思うんだ。
朔は、被害者の私以上に、あの事件を気にしてるんじゃないかって。
もしもそうなら、今すぐ気にするのをやめてほしい。
あの事件に束縛されないで。



