扉にボールが勢いよく当たった。
だが、運の悪いことに、ボールが跳ね返ってきて、私の頭に容赦なくぶつかった。
「いった~~っ!!」
しかも、扉はグラグラ揺れるだけで、壊れたり開いたりすることはなかった。
くっそ。私に反抗するとはいい度胸じゃないか。
「ボールはやめだ、やめ!」
痛みに苛立ちながら、かごの中にボールを片付けた。
こんなもん要らねぇよ!はぁー、せいせいした。
あーあ、振り出しに戻っちゃった。ていうか、さらに悪い状況になったような気がする。
「……さて、どうしようか」
――一方、その頃。
昇降口前の廊下では、いつまで経っても戻ってこない私を心配して、代表して弘也がやる気なく私を探していた。
そこに、先程体育倉庫から離れていった唄子ちゃんが、たまたま通りかかった。
「あっ、ひろちゃん!」
「……なんでお前がここにいんだよ。まじ最悪~」