BAD & BAD【Ⅱ】





そういえば、夏休みに遊園地に行った時も、この間繁華街でナンパされてた時も、唄子ちゃんは弘也を探していたっけ。懐かしいな。



「なんでこんなにすれ違っちゃうんでしょう」


「な、なんでなんだろうね」



それは弘也が唄子ちゃんから逃げてるからなんじゃ…………いや、言わないでおこう。




ふと考えたんだけど、弘也が唄子ちゃんに自分のクラスを教えるかな?嫌ってる人に自分の情報を無闇に教えない、よね?


っていうことは、唄子ちゃんが自ら調べたの?



……前々から、唄子ちゃんは根性あるなって思ってたよ。




「弘也なら、さっきまで一緒にいたけど」



直後、唄子ちゃんの目つきが豹変した。



「2人で、ですか?」


「まさか。たかやんと剛と朔も一緒だよ」


「なんだ。そうですよね。変なこと聞いてすみません」



着目するところ、そこなんだ。


たかやん、ここにいるよ。私をライバル視してる子が。





「……でも、そっか。あたしはひろちゃんに会えないのに、幸珀先輩はひろちゃんと昼休みを過ごしてたんだ。……そっかあ」



ボソッと独り言を呟く、唄子ちゃんを覆っているオーラが、どことなく不気味で。


体感温度が、一気に下がった気がした。