改めて皆のリクエストを聞いてから、渋々空き教室を出て、近くの自販機設置場所へ向かった。
嫌がらずに飲み物を買いに行くなんて、私って優しすぎ。
こんな私が雑草?あはは、ありえない。
やっぱり私は、自他共に意識してる、最高級の高嶺の花だ。
「あっ、幸珀先輩!」
「あれ?唄子ちゃん。どうしたの?」
廊下を歩いていたら、曲がり角で唄子ちゃんとばったり出くわした。
昼休みに唄子ちゃんと会うのは初めてだ。というか、滅多に校内で会わない。
剛みたいに昼休みを一緒に過ごしているんじゃないし、学年が違うと会う機会が少ないんだ。
今朝もそうだけど、今日はよく会うな。珍しい。
「ひろちゃんを見かけませんでした?」
「え?」
「毎日昼休みになると、ひろちゃんの教室に行ってるんですけど、一度も会えたことがなくって」
……へ、へぇー。
毎日弘也のクラスに通ってるんだ。お疲れ様。



