「でも、一向に呼び出しされないんだよね」
一度はリンチされてみたいなぁ。不良どもにじゃなくて、少女漫画的な恋愛絡みの。
いつでもかかってこいやって、気持ちだけは準備万全にしてるんだけど。
「それって、ただ単に、周りがお前を女と認識してねぇんじゃねぇの?」
「あー、それはあるな。ライバル視するまでもねぇとか、お前とじゃ絶対恋愛に発展しねぇから安心とか思ってるのかもな」
「まあ、確かにお前は生物学上は女だけど、中身は漢だもんな」
剛の意見に賛同したたかやんが、陽気に笑う。
は?
のんきに笑ってんじゃねぇよ。
「んなわけあるか。周りは私が高嶺の花だからリンチしにくいだけなんだよ!」
おそらく!きっと!そうだと思いたい!
私の美しさに恐縮して、周りが近づけないんだ!!
「高嶺の花?誰が?」
「私が、つってんだろうが」
「冗談きついわ。高嶺の花というより、そのへんの雑草だろ」
「雑草なのはお前だ。髪色とか目の色的にも、ほら、まさに雑草じゃん」
「髪色も目の色も関係ねぇだろ!?しかも髪色はそこまで緑じゃねぇし!」



