BAD & BAD【Ⅱ】






「弘也が女の子にきつい態度を取れるとは……」


「幸珀は僕をなんだと思ってんのー?」


「見境のないチャラ男」


「心外だなぁ。僕は見境なくないよ!」


「えっ」


「ガチで驚くなよ!傷つく!」




女の子なら誰でもウェルカム、来る者拒まず去る者追わず、女の子を相手にする時はフレンドリーに優しく。弘也はそれらをモットーにしてるとばかり考えてた。


弘也の脳内はピンク色で、女の子のことだらけじゃなかったんだ。



「弘也に分別あったの?」

「あるわ!!」


それは知らなかったな。新発見だ。




不意に、横から刺を纏った眼差しを感じた。


振り向けば、唄子ちゃんが私をじっと見つめていた。



「……本当に、仲がいいんですね」


「まあね。羨ましい?」


「ええ、とても」




青い瞳が、深く深く、淀んでいく。




以前にも感じたことがある。唄子ちゃんから、荒々しい嫉妬心を。



それは残忍な殺気のようで、「愛」と呼ぶには少々ひねくれた歪な感情そのもののようで。


麗しい容姿をより際立たせている。