「弘也が女の子にきつい態度を取れるとは……」
「幸珀は僕をなんだと思ってんのー?」
「見境のないチャラ男」
「心外だなぁ。僕は見境なくないよ!」
「えっ」
「ガチで驚くなよ!傷つく!」
女の子なら誰でもウェルカム、来る者拒まず去る者追わず、女の子を相手にする時はフレンドリーに優しく。弘也はそれらをモットーにしてるとばかり考えてた。
弘也の脳内はピンク色で、女の子のことだらけじゃなかったんだ。
「弘也に分別あったの?」
「あるわ!!」
それは知らなかったな。新発見だ。
不意に、横から刺を纏った眼差しを感じた。
振り向けば、唄子ちゃんが私をじっと見つめていた。
「……本当に、仲がいいんですね」
「まあね。羨ましい?」
「ええ、とても」
青い瞳が、深く深く、淀んでいく。
以前にも感じたことがある。唄子ちゃんから、荒々しい嫉妬心を。
それは残忍な殺気のようで、「愛」と呼ぶには少々ひねくれた歪な感情そのもののようで。
麗しい容姿をより際立たせている。



